桜姫
その場は、シーンと静まり返った。
物音1つしない。
そんな中、近藤さんが口を開いた。
「…桜羅君、すまんね。歳は、君の体を心配しているんだ。そんなに細くて食べないなんて、体にも毒だよ…」
しょぼんとする良い歳したおっさ…おっと、近藤さん。
…この人には、何故か尽くそうと思えたんだ………
『……はぁ…“食べられない”と言う方があってますね』
「食べられない?食べないじゃなくて?」
原田さんが不思議そうに首を傾げる。
その問い掛けに、私はこくんと頷いて、言葉を繋げる。
『…昔から、少食だったんだ。だが、ある事件でもっと、食べられなくなった…と言う所だな。』
私は宙を見据えて答える。
また、静寂が広間を支配する。