檸檬の変革
その女性はサッサッと歩きこちらに向かって来た。
そして僕達のテーブルまで来ると立ち上がった父と握手をして挨拶していた。

そして、僕をパッと見るとまるで向日葵みたいな滅茶苦茶明るい笑顔で右手を出した。
僕は慌てて立ち上がり握手を交わした。

『私の名前はマリアです。初めまして、話お父様から聞いています。宜しく。』と流暢な日本語で僕は逆にしどろもどろで挨拶をした。

マリアはまだポカーンとしている母にも満面の笑顔で自己紹介をした。

父は僕の隣に座る様に促した。

彼女から微かに優しい香りがした。


父が1つ咳払いを軽くしてマリアの事を詳しく話し始めた。

マリアは父の会社の同僚の娘さんで、英語が堪能なので父が頼み込んで夏休みの間僕の為に通訳兼ガイドとして一緒に動向してくれるとの事だ。


母は心配が半分減った様で安堵の溜め息をついた。

マリアはニッコリ笑い、『ご心配無く。息子さんは私にお任せ下さい。』
と言ってからチラッと僕を見てウインクをした。

僕は心配になった。
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