檸檬の変革
文也は私を抱き寄せkissをした。
太陽が少しずつ出て来た。
1つの影になった私達を太陽が照らした。
私達だけしか居ない静かな海辺。

文也の唇がゆっくり私から離れた。
文也は私を包み込むように抱きしめ優しく、私に言った。
『約束する。俺はもう二度と夜明けの海を誰かと来る事はしない。この夜明けの景色は文弥と俺の最後の夜明け。』
私は文也の胸の鼓動を感じながら黙って文也の言葉を聞いていた。


初めての約束。そして最後の約束。

文也は二度と私にkissも抱きしめてくれる事もしないだろう。
それで良い。
この一瞬が私の心に永遠に刻まれたのだから。
私はこの先ずつとこの一瞬の全てを忘れることは無いだろう。


もう1人の私。
私は大丈夫。だって文也はもう片方の貝殻。
この世でたった一対の大切なモノ。

私。文也を感じることが出来る。
どんなに時が過ぎても、どんなに遠く離れていても、大丈夫。

私は文也の手を取り、手を握り
海を見た。
太陽が2つの影を作り出した。


眩しい夜明け。
新しい今日の始まりがやってきた。
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