檸檬の変革
そんな楽しい時間は長くは続かなかった。

梅雨の明ける時期に伴いはなは段々暗い顔になっていった。

そんなある日の雨の日雪寛が神社に行くと、手紙が置かれていた。


雪寛は恐る恐る手紙を開いた。

《ゆきひろさまへ

とつぜんのお別れをゆるしてください。

わたしはもうここにはこれません。

十日ごわたしは初店でおみせにでることがきまりました。

いろいろありがとうございました。

ゆきひろさまにおあいできたこと、わたしのたいせつなおもいでです。

はなより》


その手紙の後にはなが一番好きな百人一首の一句がかかれていた。

背をはやみ岩にせかるる滝川の割れても末に逢わんとぞ思う




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