檸檬の変革
僕は手紙を握り締め書斎から飛び出し、リビングのソファーで絵本を読んでいた萌の所に行きこの手紙をどこで受け取ったのかを聞いた。

萌はキョトンとしていたが、僕の問いに答えてくれた。
『ドングリ神社だよ。綺麗なお姉ちゃんで少しお話したよ。』

『何を話したの?』

萌は得意そうに答えた。
『パパが好き?って聞かれたから萌大人になったらパパのお嫁さんになるのって言ったの!』

僕は萌の頭を優しく撫でて神社に向かった。


夕陽が地平線に沈んで薄暗くなった神社を僕はさ迷った。
ひぐらしも鳴かなくなった静かな神社は
僕の歩く足音しかしない。


辺りが暗くなり神社の外灯が灯った。


僕は神社の軒下に座り込んだ。


彩華は多分僕を今も静かに見守っているだろう。


僕は暗い空間に向かって言った。
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