檸檬の変革
瓶の蓋を開けた。

赤錆が少し机の上にパラパラ落ちた。
紫織はゆっくりと中の紙を取り出した。


手紙だった。

このボトルレターを受け取った人へ


と書かれていた。

紫織は続きを読んだ。少し滲んだ文字は父の文字だった。


はじめまして。僕の名前は高橋 文勝と言います。
この手紙を書いているのは15歳の僕です。
このボトルレターは僕の住んでいる町の川から流しました。
僕は誰かと本当にこのボトルレターで返事が来るか自分でかけてみました。
僕は将来に希望が持てない。人の出会いは一期一会と言うけれど、正直その場限りの薄っぺらい出会いだと思っています。
だからこれを拾ってくれた貴方に希望を僕に与えて欲しいと願いも込めて流しました。
どうか、届いたら住所は書かなくても良いですから、届いたと返事を下さい。
お願いします。


高橋 文勝
< 73 / 193 >

この作品をシェア

pagetop