檸檬の変革
僕は持ち直した。
でも、自分の身体は自分が一番よく分かってる。
僕はもう長くない。次の発作が最後だろう。


親が僕の顔を見ないが明るい話題を早口でまくし立てる様に話している。
無理に明るくしなくても、僕は大丈夫だよ。
もう死の怖ささえ僕はとっくに乗り越えているのだから。


気になる事は夢魔のブログだ。
僕は親に無理を言ってパソコンを広げた。

夢魔のブログが更新されていた。
僕が発作を起こしている間も更新されていた。


相変わらず自然の写メが載せてあったが、一枚だけ人物が写った写メがあった。

夕陽の海の砂浜に座り海を眺めていた横顔の女の人。
髪が風に靡いて細い首筋が見えて顔から首筋のラインが綺麗で真っ直ぐ夕陽を見つめた姿。


その写メの下に書かれていた文章。


《一大決心をした瞬間》とだけ書かれていた。
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