檸檬の変革
僕の胸の真ん中に縦に手術の痕が刻まれた。
知らない人の鼓動が体の中で規則的に動いてる。
この鼓動の持ち主はどんな人だろう?

移植手術のドナーの身元は絶対に教えてはくれない。
勿論、ドナー側の元にも誰に移植をしたかを教えてはならない決まりがある。


僕はまだ生々しい傷痕を指でなぞりながら誰かの鼓動している臓器に問いかける。


『誰なの?』と。



リハビリが開始され、僕は少しずつ回復していった。
パソコンも出来る様になり、一番最初に見たのは夢魔のブログだった。


更新されていた。


日付は僕の移植手術の一週間後だった。


夢魔は初めて長文のブログを書いていた。


僕はゆっくり読み始めた。
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