檸檬の変革
僕はリハビリを頑張った。
早くこの白い籠から自由な本物の世界に出て行きたかった。

そして夢魔に会いたかった。
その一心で丈夫な身体が必要だったから。


仮退院出来るまで健康になった僕は
夢魔が写真集を出版している事務所に行った。


こじんまりした建物全部が出版事務所らしく、受付で夢魔の本名を言って、会いたい旨を伝えた。
受付は愛想良く内線で事情を話したらしい。
そして電話を置き僕にロビーのソファーで待つように言った。



やっと夢魔に会える。
夢魔はどんな顔をするかな…。
迷惑だったらどうしょう…。
何て言えば良いかな…?


僕はソファーにチョコンと座りソワソワしながら緊張感を露わにしていた。

受付嬢は変な顔をしながらこちらを見ていたが、僕は気にしなかった。





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