檸檬の変革
僕は自宅に帰りパソコンを開き、保存した夢魔の画像を見つめた。




『夏樹? 居るの?』母親が僕を呼ぶまで
僕は時間を忘れて見つめていたらしい。
外はとっくに真っ暗だった。


家族で夕飯を囲んだ。
まだ慣れなくてギクシャクした家族の食卓。


僕は両親に話をした。
『僕、シンガポールに行きたいんだけど…。』


両親はあまりの唐突さにお互いの顔を見た。

先に口を開いたのは母親だった。
『夏樹。何で?まだ早すぎるわ。』


僕は肉じゃがを食べながらなるべく自然にサラリと答えた。
『どうしても会いたい人がいるんだ。今行かないと僕は絶対後悔してしまう。だから行きたいんだ。』


母親は今にも泣きそうな顔になり父親に助けを求める視線を送った。


父親は黙っていた。
そしてジッと僕を見た。
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