熱視線
熱視線


背中越しに感じた刺さるような視線に、私は一旦デスクのPCから目を離し、振り向いたが、それを感じた先には誰も居ない。


そして、辺りを見回すと、オフィス内は閑散としていて、

そこにいるのは数人の男性社員だけ。

その男性社員も、昼間はきっちりと着こなしているスーツを、今はネクタイを緩め、袖を捲り上げて、少し気だるそうにPCに向かっていた。


さっき背中に感じた視線は、
きっと彼のに違いないわ。


そう確信した私が腕時計に目を落とすと、終業時刻はとうに過ぎていた。



仕事に集中すると周りが見えなくなるのが私の悪い癖。



私はPCの電源を落とし、仕事のファイルを閉じると席を立ち、

さっき視線を送った主がいるであろう給湯室に向かった。



多分、彼はそこにいる筈。



そこのドアを開けると、



やっぱり……
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