熱視線
熱視線
背中越しに感じた刺さるような視線に、私は一旦デスクのPCから目を離し、振り向いたが、それを感じた先には誰も居ない。
そして、辺りを見回すと、オフィス内は閑散としていて、
そこにいるのは数人の男性社員だけ。
その男性社員も、昼間はきっちりと着こなしているスーツを、今はネクタイを緩め、袖を捲り上げて、少し気だるそうにPCに向かっていた。
さっき背中に感じた視線は、
きっと彼のに違いないわ。
そう確信した私が腕時計に目を落とすと、終業時刻はとうに過ぎていた。
仕事に集中すると周りが見えなくなるのが私の悪い癖。
私はPCの電源を落とし、仕事のファイルを閉じると席を立ち、
さっき視線を送った主がいるであろう給湯室に向かった。
多分、彼はそこにいる筈。
そこのドアを開けると、
やっぱり……
< 1 / 2 >