アンジュエールの道標
「大丈夫? ちょっと減った!?」
心配そうに私を覗き込むハル。
減る? 何が?
いや、それよりも。
さっきの――。
「あ、大丈夫。万里のファーストキスは俺が一番に奪ってるから」
「はっ?」
「ふむ、やはり血のほうが濃くて味わいがあるな」
「はい?」
ペロリと長く赤い舌で自分の唇を舐め取る白夜さん。
「そうなのか? 今回の迷惑賃に少し貰いたいものだの」
まるで獲物でも見るように私を見つめるユズハさん。
「ダメっ! これは俺んの!」
なんて後ろからギュッと抱きしめるハル。