アンジュエールの道標

「この子、手にかけたら神気すら失うかも」

『……』

「それは避けたいんだ。だから、見逃してくれる?」


ざわざわと落ち着かない湖。

そうか、だから神の気すら失いかけていたのか。

湖の底、ゆらゆらと人の骸が揺れる。


『妾とて、このような……』

「うん、辛いよね」


永久はそう言うと湖の水を人掬いし、息を吹きかけた。
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