アンジュエールの道標

そしてまた日は巡る。

彼女はいつもの時間、欄干に座って。


「ほら来たよ」


猫を抱いた彼の声に彼女は顔を上げた。


橋の向こう側からやってくるのはいつもの彼。


「声、掛けてごらん」


その声に、


今日こそは、


そう思って声を出そうとするのに――。


「――っ!?」

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