アンジュエールの道標
理枝がゆっくりと目を開ければ、そこは橋の上。
気がつけばまた欄干の上に座っている。
川の向こうに沈んでいくオレンジ色の太陽。
今までなにをしてたかなんてわからない。
でも、日が変わったことだけは理解できた。
そして目の前には、白い猫を抱いた彼。
「ほら、来たよ」
彼の声に視線を橋の向こうへ。
ゆっくりと彼が歩いてくるのがわかる。
けれど、いつもと違う姿に彼女は首をかしげた。
格好は変わらない。
けれどその胸には似合わない綺麗な花束。