アンジュエールの道標

その花束を見て、理枝は自分の死を確信した。

なぜなら、その花は彼女の好きなカスミソウだったから。


「――カズ」

「――?」


一瞬、本当に一瞬絡まった視線はすぐに解けて、一志は猫を抱いた彼のほうに視線をやった。


「今、呼びました?」


彼は白い猫を抱いたままにっこりと笑う。


「……えぇ、毎日ここでお会いしますね」

「そう、でしたか?」

「はい」

「でも、今日で最後です」

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