アンジュエールの道標

「な、んで?」

「言ったでしょ? あまり悪い夢に捕らわれていると食われちゃうよ?」

「……ナイト、メア?」

「そう」


よく出来ましたといわんばかりに、にっこりと笑って私の頭を撫でてくれる彼。

朝、見たときは茶色い髪だったのに、今は銀色。


「ほら、そこまできてた」


すっと指差す方向をつられてみると真っ黒な何かが飛んでいく。

それは獣とも化け物とも言えなくて、表現のしようの無いくらい禍々しいなにか。


「気をつけて」


ポンと私の肩を叩いて立ち上がる。

彼の足元にはあの真っ白い猫も居てあたしを見てフンッと鼻を鳴らした。


「鬱陶しくて敵わんからさっさと来い」

「……はい?」


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