アンジュエールの道標
「その格好は、小学生?」
「うん」
「何年生?」
「……教えない」
そうだ。
ママに言われてた。
知らない人に声掛けられても無視しなさいって。
「大丈夫。今、自己紹介したでしょう?」
「……」
そういう、問題かな? いいのかな?
「そうか、それじゃ君の名前も教えて?」
「……あたし、美香子。鈴木美香子」
「うん、美香子さんね。これで知り合いだから問題ないでしょ?」
そういって人懐っこく笑ってくれた。変な人。でも、とても優しそうだし大丈夫な気がした。