アンジュエールの道標
夢だから?
そっか。これは私の夢だった。だから猫が日本語を話したって――。
「うーん、残念。白夜は日本語と中国語、あと英語を少し話せるんだよ」
「はい!?」
「ついでに言うとロシア語も少々いけるな」
目の前で誇らしげに胸を張る猫。
ふさふさな毛がふわりと揺れて、尻尾が――。
「いち、に……、3本ある」
「ん? あぁ、白夜は猫又だから」
……よく分からない。
でも、夢だから。なんでもありな夢だから。
とりあえず「そう」と返しておいた。