アンジュエールの道標
「でも、もう誰も居ないし」
そう、外はもう夕焼け小焼け。
「だから見逃して?」
「……もう、連れてこない?」
「うん」
「なら、黙っといてあげる」
人間誰しも間違いはあるものだもの。
「あぁ、でももう時間だね」
先生の言うとおり、太陽はどんどん沈んであたりは暗くなっていく。だから家に帰らないと……。
「それじゃ、先生、さようなら」
ペコリと頭を下げると、
「またね」
って手をひらひらしてくれたから、あたしも手を振りながら駆け出した。