アンジュエールの道標
現実問題
永久が病室を出てすぐ。
「なんで死ぬのを待たなかった?」
そう声を掛けてきたのは猫ではなく、その姿は『日和田先生』。
けれどその声は間違いなく白夜で。
「その格好でそんな物騒な台詞言わないでよ、白夜」
永久がそう言うと白夜はフンと鼻を鳴らして、いつもの白夜の姿に。
勿論ここは病院だから、人の姿で。
「放っておいたらあの女は確実に死んだろうに」
「だろうね」
現実の彼女は点滴で命を繋いでいた状態。
頬はこけ、腕は細り、それでも眠り続けていたから。