アンジュエールの道標

「どうぞ、入って」


ニコリと人懐っこい笑みを浮かべて私を呼ぶ。

なんだろう? この感じ。

まるでまだ夢の続きを見てるみたい。

もうここまで来たのだからと、私は誘われるまま家の中に。

床は大理石、だと思う。家の中なのに明るくて見上げると大きなシャンデリアがぶら下がってた。

正面には2階に続く大きな階段。


「こちらへ」


だけど、彼は階段ではなく右側の廊下を歩いていく。

後ろを着いて廊下を。開けられたドアがあってそこを覗くと、そこには大きくて長いテーブルと、数えるのも面倒なほどの椅子が並んで。


「ここじゃ落ち着かないから」


この部屋は素通り。

彼が入ったのはその隣の部屋。さっきの部屋より小さめ。

この部屋にあるのは海外ドラマに出てくるような大きなソファ。そして低いテーブル。


「とりあえず、お茶でも入れようか。君は紅茶派だよね」

「……はい。えっ?」

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