アンジュエールの道標
ボスッと揺れる私の隣。ううん、驚いたのは、
「白夜。昼真っからお酒なんて、おやじ趣味過ぎると思わない?」
「うるさい。親父でいいから日本酒がいい」
隣で真っ白な猫が喋ってるから。
「だーめ。今から大事な話をするんだから」
そう言って彼が猫の前に置いたのは真っ白なミルクで。
白夜と呼ばれた猫は「ちっ」と舌打ちして、仕方なさそうにそれを舐め始めた。
……うん、やっぱり夢だ。
私はまた夢を見て――。
「残念ながら現実だったりするんだけど」
「えっ?」