アンジュエールの道標
「すみません。近くを通ってたもので」
「夢、なのに?」
もう一度聞きなおしても彼は「はい」と人懐こい笑みで頷く。
「夢でも、あまりこんな夢ばかりだといつか食われちゃいますよ」
「えっ?」
「ナイトメアに」
「……」
意味が分からない。
なに、これ。
夢だから何でもありなの?
「食われちゃうと精神の一部が本当になくなっちゃうんです。だから気をつけて」
「……どうやって?」
真面目に聞き返してる私も変だと思う。
でも、これは私の夢だから。
すると目の前の彼はニコリと笑って、
「現実の問題を解決すればいいんですよ」
そう言った。