アンジュエールの道標
「あのね、彼と言うのはハルだよ」
「えっ?」
「とても心配してた。でも、彼もよく分からない状況みたいでね。彷徨って俺のところに現れたんだ」
「……ハル、が?」
「正確にはわしの前じゃ」
面倒そうにそう言ったのは白夜さんで……。
確かのあの夜を境にハルも居なくなってしまった。
ハルが家を空けることは珍しくない。でも必ず帰って来てくれるって分かってるから、私はあの家を出ることが出来なくてずっと帰りを待っていたのに。
あの時の声はやっぱりハルだったんだ。
でも、どうしてハルが?