アンジュエールの道標
「だったら何であたしを呼ぶの? あたしに助けてって――」
「助けて、なんて言われて無いでしょう?」
「あ……」
「君の呼んでるだけ。仲間にして力を手に入れたいだけだよ」
「……ちから?」
そう聞き返すと永久さんは「あ、それは関係ないか」と笑って。
「どちらにして強く否定して。でないと」
すっと永久さんが指差した先には、
「ひっ!」
「ほら、まだ君の体を狙ってる」
真っ黒にうごめく何かがこちらを見ていた。
「今まで君は守られていたんだ。だけどハルは死んでしまったから」
「えっ?」
ハルが、
死んだ――?