アンジュエールの道標
「彼がずっとそばに居たから、君は今まで守られてたんだ」
「……ハル」
ハルは腕の中に居るのに、どこかおぼろげで。
だからこれは夢なんだと分かる。
けど、
「死んだ、って、なんで?」
どうして? 確かに歳だったけどまだ元気で――。
「その理由は、君が知ってるんじゃないかな?」
「……」
あぁ。
あの時の悲鳴は、
ハルのものだったんだ。
「ごめん、ハル。ごめんね?」
夢の中だって言うのに、頬を涙が伝う。
その涙がハルに落ちて、
「ハル?」
ハルの身体が光を放ち始めた。
「あぁ、もういいよ。白夜についていくといい。後は俺が――」
そんな永久さんの声を聞いたと思う。