アンジュエールの道標
「あのね、君は黄金律の蜜を持った人間なんだ」
「はい?」
「うん、分からないよね。今まで何もなかったのはハルが君を守っていたからなんだよ?」
永久さんがそう言うと、ハルは誇らしそうに胸を張って。
って、ちょっと待って。
「黄金、って、なに?」
そう聞きなおすと白夜さんは「やれやれ」と真っ白な身体に顔を埋めて寝ちゃって、ハルはハルでペロリと自分の体を舐め始めた。
いつの間にか猫のハルの姿になって。
「うーん、完璧な身体ってことかな?」
「へっ?」
「完全なる比率で出来た身体を『黄金律の身体』といって、その体の力を『蜜』って言うの」
「……はぁ」
「その力は魔に狙われやすくてね、だけど猫が嫌いなんだ」
「……」
「ほら、古代エジプトでも猫は神聖な生き物だったでしょう?」
知らないし、そんな事。
「日本でも招き猫って神聖でしょ?」
いや、縁起物でしょ。