アンジュエールの道標
夢の後片付け
「とりあえず、失恋した相手から聞いてもいい?」
「えっ?――な、なんで!?」
驚く私に永久さんはケロッとした顔で、それこそ「どうして?」なんて頭を傾ける。
いや、普通人の失恋話なんて聞かないでしょう? そっとしておくものでしょう?
「それ、本当に人だった?」
「……はい?」
「その相手、人間?」
「……だと、思うけど。だって先輩だし、前から学校に居るし」
改めてそう言われると確信が持てない。
だって、目の前には白夜さんがいるから。といっても猫の姿だけど。
「で、失恋って告白して断られたの?」
「……違う、けど」
そこまでの勇気は私には無い。
だた遠くから見つめるだけで、廊下ですれ違うたびに勝手にドキドキしてるだけ。
「なら、なんで失恋?」