アンジュエールの道標
「白夜、どっち?」
「……あっちだ」
白夜さんが顎で指すほうに進んでいく。
「ハル?」
するとハルが奥歯を噛み締め、苦い表情で私の腕を掴んだ。
「……俺が守るから」
「……」
「絶対離れないで」
「……うん」
甘えん坊のハル。
姿形は10代の男の子だけど、多分違うんだろうなって思う。
猫の寿命から考えたらハルはお爺ちゃんなわけで。
でも、私の中ではハルはずっと子供で。
だから、そんな背伸びしたせりふがちょっと嬉しかったり。