アンジュエールの道標
「しかもこんな辻に家を建てるなんてね」
「えっ?」
辻? って?
確かにこの地区は『大辻』と呼ばれてたらしい。
今では3丁目だけど。
そのこと?
首を捻る私に永久さんがふわりと笑った。
「君がここに居たせいで楔になってたのか」
「くさび?」
「この世界のままでいられるってこと」
「……」
多分、ハルが分かりやすく説明してくれたつもりなんだろうけど。私にはさっぱり理解できなかった。