c-wolf
「嬉しそうだね」


「……そう?」


「顔がニヤけてる」


「うそ」


「ホント」


思わず自分のほっぺに手を当てると、くっと小さく笑って、亮。


「楽しみだね」


ちょっとだけ笑って、優しい声で言ってくれた。


「……うん、ありがと」


「まずはその口調を直さないとね。おまえ、女なのに自分のこと[僕]つってるし、口わるいし」


「うるさい」


僕は女だ。


自分のことを僕っていうのは……まぁ、いろいろ理由はある。


でも、一番の理由は、物心ついたときから[僕]という男と一緒にいたからだろうか。


拾ってくれたことも忘れてしまっているけど、あの手の温もりは忘れない。


それからずっとこうして男のように生きてきた。


それでも、恋はしている。


Cに、恋をしている。


僕の好きな人を知っているのは亮だけ。


ほかのメンバーは知らない。


絶対に秘密、なんてこと決めたわけじゃないけど、わざわざ言う必要もないよなって。


バレたらその時は隠さず言うけどね。


亮はそのことに特に何も言わないけど、気にかけてくれるのはわかる。


ある意味、僕の一番の理解者的な、そんな感じかもしれない。
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