c-wolf
結局、昨日のことが気がかりで、眠れずに朝を迎えた。


リビングの前の扉で亮と一緒になった。


「おはよう……って眠そうだね」


「んー……おはよ」


笑って言った亮は俺の返事を聞くなり微妙な顔をして。


きっと何か感づかれたかなって思ったけど、取り繕う気にもならない。


僕がどんだけ頑張って誤魔化そうとしたって、亮にはバレるんだから。


そうやって僕はいつも、亮に甘える。


亮は何も言わないけど、こういうときはとことん甘えさせてくれるから。


全部、受け止めてくれるような気がして安心するんだ。


亮がリビングの扉を開けると、その先にCの姿が見えた。


いつも通りの、仕事モードなC。


僕たちに気づくと、おはよう、って素っ気なく言うから、なんだかみてられなくて、つい目を逸らしちゃった。


やばかったかなって思って視線を戻したら、Cはもう殺人に使うときの資料を読んでいた。


少しほっとしてたら、カタって音を立てて、Cが立ち上がったのが視界に入って、反射的にそっちを向こうとしたら、リビングの扉が開いた。


入ってきたのは、花だった。


Cの顔をみるなり、楽しそうに話始めた。


「ヴォレフ、今日の仕事、本当に私でよかったんですか~?」


「……嫌だったら変えるけど」


「ううん!私、ヴォレフと久しぶりに仕事がしたかったんです!」


「え?今日ゼルト、花と仕事すんの?」


「……あぁ」


「ふふっ♪久しぶりなんですよ」


胸が重い。


二人が話すたび、僕の気持ちは重くなってく。


どうしていいか、どうこの気持ちをやり過ごしたらいいか分からなくて、耳を塞ぎたい気持ちでいると、僕の座っているソファーが少し揺れた。


隣をみると、話の輪の中にいたはずの亮がいて、こっちを見るでも、声をかけるでもなく、ただ座ってて。


また心配かけたなぁって、ぼんやり思いながらもそのさりげない気遣いに気持ちが折れそうになる。


すぐ近くの体温に自分の体温を預けるように寄りかかった。


こうやって亮は僕のつらいのを吸い取るみたいに一緒にいてくれる


そう思ってたら、そんな僕の考えを読みとったみたいに頭を撫でられた。


それがあまりにも優しくてなんだよって思うのに、目の奥が熱をもって痛くて。


涙がでそうになるのを必死に堪えてたら、亮の手が止まる。
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