c-wolf
「…………」

威濡は自分の部屋で小さく丸くなっていた。

布団が暖かい。

寝ようと思っても寝付けず、ずっと起きていた。

時計を見ると、時刻は3時をさしていた。

睡眠薬でも飲んで寝付こうと思った時……。

ガコンッという窓の開かれた音がした。

バサバサとカーテンが激しく揺れた。

ふいに、胸が苦しくなった。

この、映像を昔みた。

遙か昔に。

そして……、

「あ……」

月夜を背にして光る、人の姿。

その姿は、神々しく、恐ろしくもあった。

その人が部屋に入ると、後ろからまた数人が部屋に入ってきた。

約、8人ほど……。

だけど、8人すべてが……、恐ろしくみえた。

まだ、威濡よりも年下だというのに、恐ろしく、みえたのだ。

「人がいた」

「怒りでまったく気づかなかったな」

「でもまぁ……、殺せばいいんじゃない?」

「殺していいのはアイツだけだろ」

「この人は関係ないよねぇ~」

「だけど、POLの人だよ~?」

「………………」

「どうすっかなぁ……」

それぞれが頭を悩ましている中、一番最初に入ってきた人がこちらに近づいてきた。

そして、二歩手前で立ち止まった。

「POLってこんな時間まで起きてるんだ」

俺は小さく首を振った。

「いや……、俺ぐらいだ」

「へぇ。何で君は寝てないわけ?」

「寝れないだけだ」

「ふーん。あのさぁ、僕たちが入ってきたこと内緒にしてくれない?」

その言葉に、後ろにいた7人が小さく笑った。

「フィーリア。冗談は止めとけ。相手はPOLだ。俺らが誰かって分かったらすぐに口開けるぜ」

フィーリア。

それがこの人の名前だろうか。

威濡はまるで他人事のように考えていた。

「でも、亮―――」

亮、と呼ばれた黒髪黒目の男は、フィーリアの言葉を遮った。

「こんな奴放っておけばいい。さっさと行くぞ。もしコイツが俺らの邪魔するんなら殺すだけだろ」

亮の言葉に、フィーリアは俺をチラッと一瞬みて、すぐに部屋から出ていった。

8人は言うだけ言ってこの部屋から出ていった。

窓から入ってきた侵入者。

ここは45階。

どうやって入ってきたのかもわからない。

ただ、アイツ等がただ者じゃないってことはわかった。
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