c-wolf
その時―――、

「……におう」

いつからいたのか……。

c-wolfが、いた。

威濡がc-wolfを凝視していたことに気がついたのか、ゆっくりとした動きでc-wolfが威濡を見下げた。

そして、小さく笑った。

「もう動けるのか?まぁ、あれくらいで腹押さえて動けなかったんじゃぁPOL失格だろうな。俺だったらそんな柔な奴いらねぇし」

いつもの憎まれ口にイラッとした威濡は反論をしようとしたが、それをc-wolfが遮った。

「んなことより、さっきここに8人くらい人来なかったか?あぁ、ついでだ、そいつらがどっちに行ったのかも教えてもらいたい。なぁに今夜はここの奴らに手を出さねぇよ。だから教えろ」

c-wolfから敵意を感じないと思った威濡は正直にさっきの人たちが行った方向を指さした。

すると、c-wolfは感謝の一つも述べずに少し焦ったような顔つきで威濡の部屋から出ていった。

何だったんだろう、と思った威濡は、c-wolfの後をついて行こうとして立ち上がろうとした。

が……

「んなぁ!?」

ガクッと膝が折れてそのままバタリとベットの上に飛び乗った。

足が思うように動かない。

まるで錘をつけたように重い。

しかも、だんだんと眠気もしてきた。

さっきまでは眠くなかったのに。

威濡は、自分の気づかぬうちに、眠ってしまった。
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