c-wolf
「伽羅の部屋ってどこだろうね」

「臭いが分かってたら行けるんだけどな……」

「う~ん……。どうする?早く帰らないとゼルトが起きちゃうよ?」

「……もう起きてるよ」

聞き覚えのある声に、8人が同時に肩を跳ね上げた。

そして、おそるおそる後ろを振り返る。

あの人がいませんように、と願いながら。

しかし、神は味方についてくれず、悪魔が降臨してきたらしい。

背後にはゼルトが呆れた顔で立っていた。

「お前等、ほんっと何してんだよ」

首をコキコキとならして、ゼルトは亮をみた。

亮は素直に言った。

「ゼルトに毒をやった奴を殺そうと思って……」

ゼルトは本当に呆れたかのようにため息を漏らした。

そのため息が8人の心に深く突き刺さった。

「お前たちが僕のことを心配してくれるのはありがたいけどさぁ、正直、ここまでされるとちょっと迷惑かな。第一、毒は僕が自分でやったことなんだ」

皆がゼルトを凝視し、唖然とした。

「新開発中の毒の実験を俺の体で試してみただけだっつーの。何をんなに大騒ぎしてんだよ。俺がよくやることだろ?」

しかめっ面で説教され、皆がしゅん、と俯いた時、

「違うよ。僕がc-wolfに毒を注入したんだ」

と淡々と喋る声がした。

ゼルトの目が一瞬だけ大きく見開かれたが、すぐに自嘲気味た顔でその人物をみた。

8人もその人をみて顔を歪めた。

「伽羅。よく部屋から出るようになったな」

ゼルトが訪ねると、伽羅は首を横に振った。

「いつもこの時間は僕は起きてるよ。それにしても……大騒ぎだね」

その言葉に、亮が伽羅に突っかかった。

「おまえっ……!!人事みたいに言うなよ!!ゼルトがお前の毒のせいで倒れたんだぞ!」

すると、伽羅が驚いたようにゼルトをみた。

ゼルトは小さく肩をすくめるだけだった。

「そうなの?」

「そうだな」

「うそ……。僕の実験は成功したってこと?無敵のc-wolfが倒れたの?」

「倒れたらしいな」

すると、伽羅は狂ったように笑った。

その姿が不気味で、8人は伽羅から離れたが、ゼルトだけが伽羅に近づいた。
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