c-wolf
「そう。じゃぁ、君は僕のことはc-wolf様って敬愛してくれるんだね。僕は君のことただの雑魚い餓鬼と呼ぶけれど」

「言ってくれるねぇ。そんな優しそうな顔しながら怖ぇ顔も持ってて。まったく、狼ってのはどいつもこいつもめんどいな」

「そこが狼の特徴ですから」

「にしても、俺が雑魚だったらそこで伸びてる男はカスになるのか?珍しいなぁ、c-wolf様とあろう方がカスを仲間にするなんて」

「この子は今調教中なんだ。そっとしてあげててくれないかな?」

「へぇ……。c-wolf様が狼だとしたら、そこのカスは狼の保存食の羊かい?」

「ははっ!カスから羊になったのかぁ。とんだ飛び級だねぇ。けど、まぁ……雑魚よりかは、マシだろうねぇ」

「c-wolf様の性格はまったくもってめんどくさい。コロコロ変わっちゃってさ」

「まぁ、仕方ないさぁ。これが僕なんだから」

「どんな境遇にいたらそんなヒネクレた……」
ドンッと重い音がした。

(マジかよ……)

シューツは唖然とし、c-wolfを見上げた。

今までシューツは聖母マリアの上に肩車のように座っていたはず、なのに……。

(今の一瞬で俺に気づかれずに動き、そして俺を床にねじ伏せた……?)

それを瞬時に理解した瞬間、シューツは全身に戦慄を感じた。

(ヤベェ……。これがc-wolfの力。しかもまだ軽いほうだ。マジだったらどうなんだよ……。こりゃぁ、POLも手を焼くわけだ。俺でもこんなん勝てねぇよ……。こいつぁ化けもんだわ……)

c-wolfはギリギリと手に力を込め、シューツの首を絞めた。

シューツは苦しそうに顔を歪める。

その顔をみて、c-wolfは心底楽しそうに嘲笑した。

「……それ以上言ったら君、殺すよ?僕は君のことを殺せる。僕の一番嫌いなものを知ってるかい?それはね……僕のいうことを聞かないお馬鹿な雑魚さ。君はピッタリ当てはまるね」

浅く呼吸することしかできない。

シューツは本気で苦しくなり、c-wolfの腕をつかんだ。

「は……な……せ」

「んぁ?」

「は……な…………せ」

c-wolfはつまらなさそうに首の手を離した。

それから立ってシューツを見下ろす。

月光が彼を照らした。

彼の影が、彼を黒く染めあげ、彼の眼が血のように真っ赤になった。

(狼だ…………)

シューツはせき込みながら唖然とした。

自分と同じ血が流れているとは思えなかった。
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