c-wolf
「あぁ……。つまらないなぁ……。もっと楽しませてくれるのかと思ったけど、これじゃぁ拍子抜けだよ。あ、そういえば、伽羅のときもこんなこと思ったっけ?まぁ、あれは計算外のことが起きてちょっと楽しかったけど。あれ?コレは僕の計算内だったのかな?んー……。まぁいいや。僕の頭の中の計算に計算されてないものは、計算するか削除すればいいんだから」

その言葉にシューツが小さく笑った。

「へっ。c-wolf様にゃぁ特別な舞台を用意してあるよ!」

「……へ?」

舞台という言葉にc-wolfは楽しそうに笑ってシューツを見た。

その顔は小さな子供のようだった。

しかし、c-wolfは背後に立っていた伽羅に気づかなかった。

普段のc-wolfならば伽羅が起きあがったことにも気づいていただろうが、今のc-wolfはシューツにしか意識がいっていない。

狩りを楽しむ狼のようにシューツばかりをみていたから、伽羅のことには気づかなかったのだ。

シューツがニヤリと笑った瞬間、c-wolfが眼をキョトンとまん丸にして後ろを振り返った。

それと同時に伽羅の手が伸びてc-wolfの首を掴んだ。

いきなりのことにうまく受け身をとれず、c-wlfは伽羅に押し倒された。

「……おい」

「どうして僕だけなの?どうして僕だけ……僕だけ捨てるの?」

c-wolfは黙って伽羅を見上げた。

伽羅の瞳にはよく見たことのある暗い闇を含んでいた。

表情もなく、まるで人形のようにc-wolfの首をしめていく。

c-wolfはそれを無言で見上げている。

首をしめられて苦しいはずだ。

だが、c-wolfはなにも言わず見上げていた。
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