c-wolf
「いい加減決着つけようか。これでも僕殺人衝動を抑えてるんだよ?」

c-wolfの整った顔が笑ったことによりひどく歪む。

(マジでコイツ……1人の人間じゃねぇぞ……)

シューツはいつまでもおさまらない鳥肌のたつ腕を押さえた。

「待って……っ!お互い、話そう……話せば、わかるはずだよ」

しかし……。

ドスッという鈍い音がした。

シューツの目の前には整った色白の男の顔。

はっ、と小さく息を吐く。

ドクン、と心臓がゆっくりと動いているのがわかる。

そして……。

「……心臓が掴まれているのが分かるか?」

「あぁ……分かるよ」

「お前の命は俺が今持っている」

「……みたいだね」

「さぁ、どうする?」

「どうするって、なにを?」

「僕がさぁ、考えてるのわぁ、君は僕たちの仲間になりたいんだろ?僕たちの仲間になってたくさんの人を殺して快感を得たい。そうなんだろ?」

「……まぁ、そうっちゃそうかな」

「だけど僕たちは人を殺して快感を得るためにあるんじゃないんだよねぇ~。これがさ」

「じゃぁ、なぜ……あるんだ?」

「敵討ち」

「……は?」

「それぞれの敵を討ち取るためにあんだよ。っつーことだから、敵を討つことができたら離れていく。お前にゃぁそういう奴ぁいねぇだろ」

「……嘘、だろ?」

「嘘じゃねぇよ。指名手配されてる極悪非道人を殺すのも意味があってやってんだよ。あたりめぇだろ?なかったらそれこそ人殺しじゃねぇかよ」

「……でも……」

「でももクソもねぇよ。話戻すっけど、どうすんだぁ?このまま俺に殺されるか……俺たちの仲間になるのか。まぁ、なったところですぐに俺たちの誰かに殺されるだけだろうけどな。お前は俺たちの掟を守りそうにもねぇかんな」

「……なんっ!」

「ばいばい」

教会の扉が開かれたのとc-wolfがシューツの心臓をつぶしたのは同時だった。
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