LOST ANGEL
「…大丈夫?」
目をつぶっていると、女の声が聞こえた。
「具合悪いの?」
若い女の子の声だ。
「だっ…大丈夫」
オレはゆっくり顔を上げた。
「大丈夫そうには見えないよ」
目の前に少女が立っていた。
夏のセーラー服を来て、白いハイソックスを履いて、マスコットがいっぱいついたカバンを肩に掛けている。
少女の顔を見ようと、もう少し頭を上げる。
きょとんとした大きな瞳がオレを見下ろしていた。
柔らかなブラウンの髪が耳横でツインテールになっていて、肩に少しつく位の長さ、長いまつ毛、色白で鼻も口も小さい。
というか顔自体が小さくて、人形のように可愛かった。
覗き込んでくる彼女と目が合った瞬間、不思議なほどスーッと頭の痛みがなくなった。
ゆっくり立ち上がる。
少女の目がオレの動きを追っている気がした。
今度はオレが少女を見下ろす形になる。
身長167㎝のオレを見上げる彼女はかなり小柄だった。
「ごめん、ありが…」
「あんた、わたしが見えるの?」
礼を言おうとした自分に対し、食い気味で変な質問が返ってくる。
「へ?」
思わず不振な瞬きをしてしまっ
た。