LOST ANGEL
「だから、わたしの姿見えてる
の?」
「……」
オレは頭がオカシクなったのか?
それとも、この女がオカシイの
か?
「わたしの声はちゃんと聞こえたんだよね?」
「えっ…?だから何?」
訳が分からなかった。
「今わたし、どんなカッコしている?」
ぶしつけな質問だ。
「どんなって、セーラー服…」
そう言うと、彼女は驚いたように目を見開き、胸に手をあててい
た。
大きな瞳が潤んでいるような気がする。
「…どうかしたの?」
さっきとは逆に、オレが彼女を心配している状態になっていた。
「あの…あのね…」
震える声。
「何から話せばいいんだろう…」
彼女はかなり動揺している。
「あんた…名前は?」
「名前?…深沢慧斗だけど…」
「わたしは杏奈。千葉杏奈」
いきなりの自己紹介に戸惑った
が、彼女にピッタリの可愛い名前だと素直に思った。
「深沢慧斗さん、…わたしが今から言うこと変だと思うけど驚かないで」
「変?」
「わたしだったら、こんなこと言われたら引くけど、真実なの」
何が言いたいんだ?
「あのね…」
「うん」
「信じてね」
信じる?