LOST ANGEL
それが現実はハイテクでややこしい世界だったなんて…。
「神様が1人なら、全世界から人が集まってるってことか?」
「当たり前でしょ。オリンピックみたいなもんよ」
当たり前って……。
「あの世の人たちが何語で話しているんだか知らないけど、わたしにはちゃんと日本語で聞こえた
よ。どう見ても日本人じゃない人たちの言葉も日本語に聞こえた
し。同時通訳みたいなもんか
な?」
ますますあの世が解らなくなっ
た。
「で、君は神様に会ったっんだ」
「散々待たされてようやく会えたわよ」
杏奈の表情から、本当に長く待たされていたことが読み取れる。
「神様って、やっぱり偉そうな感じ?」
「わたしもそうかと思ってたんだけど、会って驚いた」
気だるそうな話し方から、一変して声を弾ませる杏奈。
「かなりのイケメンだったの!」
……イケメン?
「性別は解らないから、わたしの個人的な感想だけどね。見た目は20代後半って感じ。少女マンガに出てくるみたいなビジュアルで、何もかも完璧な美なの」
今度はポゥっと頬を染める杏奈。
別にオレは神様のビジュアルを知りたい訳じゃないんだけど。
「でも、性格は微妙だった」
「えっ…神様の?」