LOST ANGEL
「だって、散々待たされたのに、わたしをこの世に戻したのよ!」
喜怒哀楽が激しすぎる女だと改めて確信する。
「神様と何のやりとりがあったわけ?」
引きつり笑いで尋ねる。
「わたしのデータと感想文をじっくり見てた。そして言われたの」
「何を?」
「この世に戻って、自分がなんで成仏させてもらえないのか理由を探してこいって」
「……」
「そして戻されたの!」
あの世の話をいっきに聞いたせいで頭が混乱していた。
いつの間にか杏奈がソファーの上で仁王立ちになっている。
「ホントにムカつく!あのバカ神野郎!」
ビジュアル誉めてたじゃんとツッコミたくなったが、色んな意味で怖かったので我慢した。
「普通はすんなり成仏できるもんなの?」
「ほとんどの人が成仏チケットをもらってたけど、わたしみたいに戻される人も何人かいたわよ」
成仏チケットって……。
「戻される人には何か理由があるのよ。でも、成仏出来ない理由を探すなんて、何をしたらいいのかさっぱり解らない!」
「…ヒントとか…全くないの?」
「ヒントというか…」
そう言いながら、杏奈はバッグの中に手を入れた。
「これは貸してもらえた」