LOST ANGEL
0 キミガオシエテクレタ



砂時計のピンクの粉

無数に並ぶ街灯

喉にささった魚の小骨

酒屋の名前が入った粗品のタオル

錆びてうるさいブランコ

シャーペンの芯

雑誌についてるバーコード

携帯の充電器

かかとが潰れたスニーカー

アルバイト募集の張り紙

昨日の残りのカレー

映画の長い予告

ホコリをかぶった扇風機

吐き捨てられたガム

うそ臭い占い

校庭に残されたサッカーボール

消しゴムのカス

塗り立ての横断歩道

コンタクトレンズ

ゴミ袋をつつくカラス

ファミレスのドリンクバー

シャッターの落書き

宛先を間違って送信したメール

ポケットの小銭

飲み込んだスイカの種

ポチという名前の犬

電車に忘れられた傘






忘れそうなほど、身近にある当たり前の風景。

振り向かずに通り過ぎてしまう当たり前の存在。

よくあること…
よくみること…



目にもとまらない、ありふれた毎日の飾りにもならないもの。




こんな普通の日常の背景に隠れてしまいそうなものに、意味などないと思っていた。



人生という名の大舞台に、これらのものが輝く瞬間なんて、あるのか? と…。
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