LOST ANGEL
大学も夏休みだし、リラックスしていれば直に治ると医師も家族も同じことを口にした。
と、いう訳で二十歳にもなるのに毎日ダラダラと過ごしている。
朝日が眩しい。
太陽は既に高く昇っていて、朝日とはいえないかもしれないが、オレは朝一番に見る太陽が一番好きだ。
1日の始まりを告げる輝きに照らされているとホッとする。
リビングの窓に反射した光が、屈折して床にテーブルの長い影を作っていた。
テーブルの上は昨日と同じまま
で、何かをいじられた形跡はな
い。
それはイコール、兄貴が3日も帰っていないということだ。
オレは3つ年上の兄貴と都内の端にあるこのマンションに2人で住んでいる。
両親は隣県で父母共に教師として生活している。
その両親の希望がオレを教師という職に就かせることだった。
その成り行きでオレは都内の大学へ通うことになり、兄貴のマンションに転がり込んでる。
兄貴はオレとは全く正反対の性格で、良くいえば裏表がなく誰にでも明るく振る舞う人間だが、悪くいえばただのチャラ男だ。
このマンションも女に買ってもらったとか…。
どんな女なのかは知らない。