LOST ANGEL

「残念だったね」

後ろから声がした。

しまった!

オレは慌て振り返る。

「あと少しで元カノといいことできたのに」

目の前で杏奈がふてくされてい
た。

「ゴメン!」

「なんで謝んのよ」

「いや…その…」

忘れてたとは言いにくい。

「わたしのことなんか忘れてたんでしょ」

図星である。

「マジゴメン…何か頭ごちゃごちゃしちゃってさ」

「キレイな人だったね」

目を合わせないで喋る杏奈。

「ん?」

「元カノさん」

もしかして、ヤキモチ?

「杏奈…」

「なに?」

「嫉妬してる?」

ストレートに聞いてしまった。

「はっ?…なっ、なにとぼけたこと言ってんのよ!」

「だって、あんな場所に居ずらかっただろ」

「えっ?」

「ドア開けっ放しだったのに、何で出てかなかったの?」

「それは…」

それは?

「生のラブシーンを目の前で見れる機会なんてなかなかないから、興味あっただけだよ」

早口で答える杏奈が可愛くてついクスっと笑ってしまった。

「何がおかしいのよ!」

ムキになる姿も可愛かった。

相原の艶のある姿より、杏奈の無邪気な姿に胸が熱くなる。

オレ、どうかしてるかな?
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