LOST ANGEL
近くのファミレスに着くまで、そんなことを考えていた。
店の端っこの席に杏奈と向き合って座る。
目の前には食べ掛けのチーズトースト。
杏奈が薬を飲む前には何か食べろと言うので昼食を兼ねて注文し
た。
「大丈夫?」
「もう全然平気」
「ホント?」
「本当に大丈夫だよ。最近ちょっと出歩いたから疲れただけかも」
「…ごめんね」
杏奈がうつむく。
逆に気を遣わせてしまったようだった。
「別に杏奈のせいじゃないぞ!ほら、色々探しに出掛けようって提案したのはオレの方だから!」
店員がチラっとこっちを向く。
いつも杏奈と人前で話すときは携帯を片手に話していた。
しかし、今日はそれどころじゃなかったし、杏奈が他人には見えない幽霊だってことを忘れていたりしていた。
「でも…今日はわたしがバイト先に行ってみようって…」
そういえばそうだった。
「なあ、現場行くの嫌がってたのに、なんで現場通らないと行けないバイト先にわざわざ行こうとしたんだ?」
「……」
ヤバい、また変な質問したかな?
「…マスコミって」
「あぁ…、オレがマスコミにこだわりすぎたからか。それで嫌だけどこっちを選んだ訳か…」
最悪だなオレって…。
「それもあるけど…」