ふわふわのシフォンケーキ
私は渋々美幸様の自室から退室し、一足先に厨房へと向かう。
「おはようございます。皆さん」
厨房に入り、共に働く使用人たちに挨拶をする。
「ゆうたん、おはよう!」
そうにっこりと笑うのはまだ幼さの残る、千春さん。2年前にこの屋敷に来られて以来、毎朝パンを焼くのを仕事とされいます。
「おはよ・・・・・・なんだ悠、また美幸に平手打ちされたのか?」
アハハと笑う琉夏さん。彼は使用人の中で一番長く働いている料理人で、千春さんのお兄さん。
「美幸はツンツンデレデレだからな。ちょっと強引に・・・・・・うっ!?」
話を続けようとする春樹さんの口に焼きたてのスコーンを押し込む。
春樹さんは庭と温室の管理と美幸様のボディーガードをされていて、ちょっと俺様な感じの方です。