恋、始めてませんか。

今日という今日は逃がさない。
そう言って私をずるずると生徒会室へ引きずっていく。

 ガラガラ‥ 生徒会室の扉を開け
彼はずっと掴んでいた私の手首をぱっと離す。
そして生徒会長専用のご立派な机まで行き
わざとらしく大きなため息をつく。

 「さて、どうしましょうかね。
いつになったらいい子になってくれるんですか?」

 いい子にも何も‥なんでこいつにそんな言われなきゃならないわけ。
こいつ実際ただの生徒でただの一個上の先輩ってだけなんだけど。

 「生徒会長ってそんなに偉いの?」
 毎回毎回えらそうに説教してきて‥

 すると相沢は静かに近づいてくる。

 こっちに近づいてくる相沢の目はいつもの相沢とは違って見えて
なんとなく寒気がした。

 「いいえ?別に偉くなんてないですね。
 この学校の一生徒に過ぎませんし。」

 そう言い終わった時には相沢は私と触れるか触れないかくらいの
至近距離にきていた。

 私はイラついてるのも、怒られているのも全部忘れて
至近距離の相沢はむかつくけどきれいな顔立ちをしてるなってぼんやりと思った。

 少し経ってからハッとして私はまた口を開いた。

 「だったら偉そうにこうやって説教するのやめてくれるかな。
 私あんたのこと大っ嫌いなの。 だから、もう帰して。」

 そう言って私は相沢に背を向け生徒会室の扉に手をかけた‥
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