“愛してる”の、その先に。
「すみません、こんなとこ連れ込んじゃって…。
電車も無くて、他に場所思いつかなくて」
おそらくここは、ラブホテルの一室。
酔っ払いの私を担いで、ここに入った村井の姿を想像したら、なんだかおかしかった。
「ううん、こちらこそ…迷惑かけてごめん。
置いてって良いから、村井は家に帰りなよ。
ここのお金とタクシー代、私が出すから」
嘘でもこんな場所、私なんかと来たくなかったのは村井の方だ。
とんだ厄介者だね、私は……。
「…俺のシャツ、早川さんのゲロまみれで、今洗って風呂場で乾かしてるんです」
「えっ?!」
「裸で帰るわけには行かないでしょ?
…部屋とったし、タクシー代とか勿体無いし…
良いですよ、気にしなくて。
…って、あ、早川さんが気にするか。
俺なんかとこんなとこで一晩過ごすなんて嫌ですよね」
急に顔を赤くしながら、村井は必死な様子で説明した。
「安心してください。
俺はソファで寝ますから。
早川さんはベッド使ってくださいね」
「うん…ありがと。
その前に、私もシャワー浴びさせて」
「えっ」
突然ベッドから飛び出した私に、村井は驚いた。
「…気持ち悪いでしょ、浴びないと。
メイクだって落としたいし。
村井、私のスッピン見ても笑うんじゃないわよ」